作品コンセプト

「陶芸を装う」をコンセプトに1983年の創作活動開始以来、流行に左右されることなく、本質を求める日本の美意識を大切にして既存の陶芸作品やジュエリーとは一線を画す『和』の伝統美や魅力を独自の技法で表現し、全く新しい宝飾の提案です。

1.新規性

内焼き物の最高峰伊万里焼の鍋島は気品があり、“磁器のダイヤモンド”と称され数百年もの間人々に愛され続けています。また、17~18世紀ヨーロッパ諸国に輸出された古伊万里は“白き黄金”と呼ばれて大変貴重なもので、中でも燭台・シャンデリア・飾り壺などは金具を取り付けて豪華な宮殿の装飾品として王侯貴族を魅了しました。その伊万里ブランドは世界のブランドとして生き続け、ヨーロッパ磁器には伊万里のデザインが脈々と受け継がれて現在も制作されています。この歴史や伝統を生かしながら、現代の伊万里焼を貴金属・貴石・真珠などと組み合わせて陶芸宝飾“伊万里ジュエリー”として伊万里焼400年の歴史に新しい1ページを創っています。陶芸家のルーシーリーは焼き物のボタンも作っています。また、北大路魯山人もブローチや帯留を作っていて陶芸作品の食器や壺などとは違う表現方法を試みていますが、専門的にジュエリーで表現を試みた陶芸家は私の知る限りいなかったように思います。

2.特性

伊万里焼は最上級の磁器土を使用し約1300度の高温で焼成しているので、硬く滑らかで光沢があり美しく宝石の要素は十分に持っています。磁器のダイヤモンド或いは白き黄金などと異名をとっているのもそれゆえです。宝石であるための必要条件には美しさ、耐久性、希少性の三つがあります。

①美しさ
美しさについては、約1300度という高温で焼成する為、滑らかで、真珠の輝きによく似ていて柔らかく温もりさえ感じさせる光を放ちます。これは磁器も真珠も他の宝石のようにカットして磨いた光ではなく、出来上がったままの光だからです。色についても無限といっていいほどさまざまな色を出すことが可能です。

②耐久性
耐久性は何百年も前の磁器が美しい姿で現在も残っているように、腐食するようなことはなく取り扱い方によっては永久ともいえます。また、非常に硬くキズが付きにくい性質を持っています。ちなみに、モース硬度を比較するとダイヤモンドは10、磁器は7~8、ガラスは5~6、真珠は3~4となっており磁器はエメラルドと同じ硬さを持っています。したがって、非常に傷がつきにくくいつまでも光沢をなくしません。また、セラミックは最高の義歯とされおり、これは、人間の歯の硬度と同じで人の肌に最も違和感の無い硬さゆえで、肌に触ることの多いジュエリーの素材として最もふさわしいと考えます。但し、クリスタルガラスのフワロフスキーやバカラカ製品(アクセサリー)と同じように強い衝撃を与えると割れることがありますので取扱いには注意が必要です。

③希少性
希少性が特に問題になるかと思われますが、17~18世紀にかけては磁器そのものが大変稀少で価値がありましたが、現在は皿や壺などの磁器は大量に生産可能です。しかし、ドイツのマイセンやフランスのセーブル、日本の柿右衛門窯や作家が創る磁器作品は非常に高価な価値を保っており、これは高い技術と芸術性を保ちつつ少ない生産量を維持し、ブランドイメージを確立しているかだと思われます。伊万里ジュエリーの場合は、オリジナル技法の金やプラチナにひび模様を入れる「金彩貫入」やすべての面を滑らかに仕上げる「全面仕上げ」は他に類がなく非常に希少性が高く20年以上お客様から支持されています。また、ジュエリーコンテスト「タヒチアンパールトロフィー ジャパン」メンズ部門で第1位を受賞したことにより、作家としも認められ、絵画と同じように作品として市場に出せることはジュエリーの中でも稀少だと考えます。